職人による高品質な仕上げの製品を！

「オーダーメイド職人の技をご紹介

オーダーメイド製品を購入しようと思い、値段を見た際に驚く方もいるのではないでしょうか。それは、オーダーメイド職人の熟練した技術による、高品質な仕上げが施されているからです。単に「仕上げ」や「技術」と言っても、知識がなければ分からないものかもしれません。

今回の記事では、オーダーメイド職人にしか成せない3つの技をご紹介します。オーダーメイド製品を検討する際には、参考になること間違いなしです。実際に製品を検討する際には、ぜひ注目して欲しいポイントです。職人の技術が詰め込まれた一生モノのアイテムを「自分のために」「大切な人のために」「大事な人とお揃いで」手に入れてみてください。

1. 稔ひき

稔ひきとは、革製品のふちに並行に入れられた溝のことです。稔と言われるコテを使って、熱と圧力を加えてライン（稔）を引いていく作業となります。「飾り稔」や「稔入れ」などと言われることもあります。まっすぐ整った稔入れができるのも、ごくわずかな高等技術です。

1-1. 稔ひきの役割「美しさ」

稔の入れ方次第で、製品の印象が大きく変わります。シンプルなデザインの製品ほど、稔（ライン）が際立ち、非常に美しいものとなります。知識のない方でも、見比べることで違いに気づけるでしょう。

1-2. 稔ひきの役割「耐久性」

稔を入れる際に、革に熱と圧力が加わることで、革の繊維が引き締まります。また、熱が入ることで、接着の強度が上がります。それによって革の端（コバ）や縁部分が硬くなり、耐久性が上がるのです。

1-3. 稔ひきの役割「屈曲性」

実は稔ひきが施されるのは、ふちだけではありません。二つ折り財布の中心でも見られることが多くあります。ここでの稔は、硬い革を曲げやすくする役割を担っています。

1-4. 稔ひきの種類

稔ひきの種類には「一重稔」「二重稔」「玉稔」「押し稔」などさまざまな種類があります。ふちに一本のラインを引くのが「一重稔」、二本のラインだと「二重稔」です。また、ふちをぷっくりとかまぼこ型にするのを「玉稔」と言います。そして、溝は入れずにふちを押しつぶして、段差をつけるのが「押し稔」となります。この作業をベテランの職人は、フリーハンドで行うことに驚きです。

2. コバ

コバは漢字で書くと「木端」と書き、革製品の切り口のことを指します。コバの仕上げが、製品のクオリティーを左右するといっても過言ではありません。ここでは、コバの仕上げ方を2種類紹介します。どちらの仕上げ方も耐久性を上げる効果があり、その差はほとんどありません。

2-1. へり返し

革の切り口に、表から革を巻きつけるようにして接着して補強します。切断面が見えなくなるため、スッキリした印象に見られることが多いでしょう。オーダーメイド製品を、ほとんどの人は丁寧に扱いますが、お尻のポケットに入れるなどして雑に扱うと、摩擦でへり返しの部分が捲れてしまうこともあります。もちろん大事に使っていれば、そのような心配もありません。

2-2. 切り目

切り目は「磨き」と呼ばれることもあります。革を重ねて縫製して切断した後に、「削る」「磨く」「塗る」という工程を繰り返して仕上げるのです。熟練した職人の手にかかれば、重なった革が一枚に見えるほどきれいに仕上がります。革を巻きつけることがないので、スマートな印象となります。また、へり返しと違う点として、再生可能であることが挙げられるでしょう。経年による擦れが生じても、再び磨きなおすことできれいな状態に戻せるのです。一生使うものは、メンテナンスについても考えたいものですね。

3. 菊寄せ

菊寄せは「刻み」と呼ばれることもあります。どのような技法なのか見ていきましょう。菊寄せは、先ほどご紹介した「へり返し」の技法を用いた製品のコーナー部分に用いられます。コーナー部分は革が余ってしまうため、革を寄せ、細かいひだを作ります。非常に繊細で技術が問われる作業となるため、昔の職人は菊寄せの美しさで、技量を競っていたそうです。

近年では、海外の工場においてもこの技術が取り入れられるようになり、低価格で菊寄せの施された製品を手に入れられるようになってきています。それにより、日本の職人の技を見る機会が減り、卓越した技術を持った職人も減ってしまっているのが現状です。せっかくオーダーメイド製品を手にするのであれば、美しいものがいいでしょう。

4. まとめ